ヨーロッパを訪れるとき、私はいつもより「光」を意識してものを見る自分に気づきます。
なかでも、その光の構造を視覚的に感じられるのが、教会などの建築物。
パリから電車で1時間半ほどかけてたどり着いた、 フランス北西部に位置するルーアン大聖堂は、モネの連作の舞台としても知られる場所。
ゴシック建築の荘厳な柱の間から浮かびあがるようにしつらえられたステンドグラスが、 時の流れとともに静かに色を変え、足元の石畳に淡い模様を落としていきます。
その美しい“光の記憶”を、ジュエリーというスケールに落とし込みました。
中心に配したカボションストーンから四方へと広がる繊細な装飾は、 聖堂を彩る窓枠や格子の記憶を受け継ぐもの。
あの静謐な空間と、そこに漂っていた光の余韻が、 ふと胸元に立ち上がるような——
重厚でありながら繊細。
少し冷たく、それでいて静かにあたたかい。
そんな感覚を宿すよう、丁寧に仕立てました。
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A cathedral remembered through light.
Rouen captures the quiet elegance of sacred glass.
From the cabochon center, delicate forms extend outward,
echoing tracery and lattice that once held light in stillness.
Each shimmer recalls stone kissed by stained glass—
cool, serene, and quietly radiant.
*Rouen(ルーアン)
ルーアン大聖堂の記憶の断片より。静かな“光の構造”をジュエリーに。
Gem Etude No.30
Form: Light Memory
Phase: Reflection
Insignia: Tracery in Stone